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実際に働いてみて感じたのは、スタッフに指示を出す統括のアキラさんの重要性。アキラさんの気さくなトークやさりげない気配りのおかげで、チャットツール内では、終始和やかな雰囲気に包まれていました。顔が見えないなかでのスタッフへの指示出しには苦労も多そう。そこでアキラさんに、マネージャーとして心がけていることや、アバターワークを成功させるコツなどを聞いてみました。また、「メタジョブ!」で実際に仕事をしているアバタースタッフにも、バーチャル空間で働く魅力ややりがいを聞くことができました。
澄田 直子(すみた なおこ)
ライター
旅とキャンプ好き。コロナ以降は家電や家庭用ロボットにはまり、LOVOTをお迎えしようか悩み中。初体験のVR空間でのバイトは予想外に楽しく、本業にしたい勢い。
l ワーカーの方々とのコミュニケーションをうまく取るコツはなんですか?
アキラさん:下手に飾らない事でしょうか。音声だけのコミュニケーションになるので、自分の意見をはっきり、わかりやすく伝えることが大切です。また、常に相手の立場に立って考え、疑問点や困っていること、望んでいることを察するようにしています。そうすることにより、ワーカーさんのスキルや得意分野などもわかってくるので、お互いにやりやすくなります。
l これまでになにかハプニングがありましたか?
アキラさん:最初の現場の時に自分の声だけバーチャル空間に反映されず焦りました。機器系のトラブルや、機材とアプリの相性などは気合いではどうにもならないので、その都度改善していくしかないですね。一度失敗しても落ち込まないでください!
l アバターワークはどんな人に向いていますか?また必要な能力はありますか?
アキラさん:人と話すのが好きな人、話を聞くのが好きな人にはもってこいですね。特殊な能力は必要ありませんが、コミュニケーション能力は大事だと思います。ただリアルで求められるコミュニケーションとは少し違うので、ここで能力を開花される方もいますね。そういう人は見ていて(聞いていて)楽しいです。
l バーチャル空間でユーザーに好かれるワーカーの特徴はありますか?
アキラさん:物怖じせずに話しかけられ、最低限の礼儀が守れる人でしょうか。つかず離れずの絶妙な間合いをとれる人が好かれる傾向にあります。一方的に話すだけでなく、聞き上手な方も愛されますね。
l アバターワークを続けられる人、向いている人ってどんな人でしょうか?
アキラさん:アバターワークに興味を持たれたきっかけは人それぞれだと思いますが、メタバースや新しい技術への興味、バーチャル空間内での人間観察、また自己実現など、どんなアプローチであっても、バーチャル空間のなかでなにかやりたいことを見つけられる人は楽しく長続きすると思います。「メタジョブ!」としてもそういったワーカーの方々の期待やニーズに応えられるよう務めていきたいと思っています。
l この仕事を知ったきっかけはなんですか?
スタッフ:ツイッターで「メタジョブ!」(旧アバたらくション)の存在を知り、どのようなお仕事があるか問い合わせたところ、この仕事をご紹介いただきました。
l この仕事をやってみようと思った理由を教えてください。
スタッフ:アバターで働くという新しい接客スタイルに興味を持ちました。また、働く時間やタイミングが自分の生活に合わせられるのも魅力でした。
l 実際にやってみて最初の印象は?また続けていくうちに印象は変わりましたか?
スタッフ:最初はどう話しかけたらいいものか悩みましたが、やっているうちに、アバターを動かしたり、エモーションを用いることで、実はコミュニケーションが取りやすいことに気がつきました。オンラインゲームでチャットをしている感覚で接客ができる…というか、リアル空間よりもフラットに接することができるというのは発見でした。
l この仕事のやりがいはどんなところにありますか?
スタッフ:バーチャル空間というのはまだ多くの人々にとって未体験の部分が多く、今回初めてスタッフやほかのユーザーとコミュニケーションをとったというお客様も多かったようです。最初は戸惑われていたお客様も、スタッフとのコミュニケーションを通じてほかのお客様との交流ができた、と喜んでくださったのには私も嬉しくなりやりがいを感じました。
l リアルでの仕事と違うところはありましたか?
スタッフ:人との関わり合いが大事だというのはリアルでの仕事と変わらないと思います。ただ、アバターや音声チャットを介しているので、スタッフとお客様との関係はリアルに比べてずいぶんフラットに感じました。表情を気にしなくてもいいというのも大きな違いですね。
l 今後、アバターワークで挑戦してみたい仕事はありますか?
スタッフ:今回のようなイベントのスタッフや、アバターとチャットを使ってお客様を楽しませられるようなもの、アバターを使った動画撮影のような仕事があればぜひチャレンジしてみたいですね。この業界は、体験することすべてがほぼ「新しいこと」。どんなことでも積極的に体験してみたいです。
後日、アキラさんが「バーチャル渋谷」での私の働きぶりを評価してくれているという噂を耳にしました。私自身は、ヘッドホンを装着せずに参加し皆さんに迷惑をかけたり、バーチャル空間酔いで気持ち悪くなっていたりして、思うように働けなかったと少し落ち込んでいたところだったので、とても嬉しくもあり、ちょっと意外でもありました。なにが評価されたのか、私なりに分析してみました。おそらく下記が評価されたポイントだと思います。
課せられた仕事に真摯に取り組むのはもちろんですが、報告、連絡、相談という、グループワークの基本を押さえるというところでしょうか。バーチャル空間では表情や雰囲気が分からないので、お互いに伝える手段は言葉のみです。言葉での適切な報告が、仕事を円滑にすすめ、また信頼感を育むということは今回の体験で実感しました。そうした基本的なことを少し意識すれば、世界中どこにいようと、何歳であろうと、性別を問わず等しく働くことができ、さらにリアルとは違う自分になれたりもする。バーチャル空間での仕事は、非常に魅力的で大きな可能性を秘めていると感じました。