一緒に働いた同僚へのインタビューはこちら
澄田 直子(すみた なおこ)
ライター
旅とキャンプ好き。コロナ以降は家電や家庭用ロボットにはまり、LOVOTをお迎えしようか悩み中。初体験のVR空間でのバイトは予想外に楽しく、本業にしたい勢い。
初めてのアバターワークデビューの舞台は、10月16日から31日まで開催された「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス2021“FUN FOR GOOD”」。「メタジョブ!」のサイトにアクセスすると現在募集中の仕事が掲載されています。仕事の詳細ページにアクセスすると、仕事の日時や仕事内容のほか、必須スキルや歓迎するスキルが掲載されているので、ここで自分のスキルとマッチしているか確認します。応募フォームからニックネームとメールアドレスを入力して送信。住所や性別、年齢などの記入や顔写真は必要はありません。
しばらくするとメールで面談の連絡がありました。「メタジョブ!」の統括であるアキラさんとzoomで面接をします。
面談でアキラさんとは、「機器・端末のスペック」、「現在の職業」、「希望するお仕事」などを確認。また、稼働できる日程についても聞かれました。
※注:2024年5月より、面談なしでお仕事ができるようになりました!但し、一部の案件はお仕事前に面談が必要です。詳細はメタジョブ!登録(無料)後、各案件の募集欄からご確認ください。
面談は無事通過。仕事当日は指定時間に集合します。集合と言ってもバーチャル空間なので、ネット環境の整った場所で、パソコンやスマホなどのデバイスでアクセスするのですが、スタッフが全員アクセスした状態で出席の点呼をとったりするので、リアルでのイベントバイトのようです。
統括のアキラさんをはじめほかのスタッフとは、チャットツールでコミュニケーションをとります。点呼のあとは今日のイベントの流れや、スタッフとして案内する際に意識すべきことなどが伝えられるとともに、昨日のイベントでのトラブルや注意事項なども共有されます。
その後、本日が初日となる私を含めた2名のスタッフは、「バーチャル渋谷」のなかでスタッフ専用に設けられた階層に移動して「バーチャル渋谷」を実際に探検しながらレクチャーを受けます。この際は、一般のユーザーがいないスタッフだけの階層で研修を受けられるので安心です。
今回公式スタッフに課せられた役割は
がメイン。レクチャーではそれらのタスクをこなすための基本動作と情報を教えてもらいます。
アバターの動作については、習うより慣れよ、です。なにしろ初めての体験なので、とにかく動いてみて感覚をつかみます。「バーチャル渋谷」を案内してもらっているうちに、動く、跳ねる、手を振る、エモーションを送るなどの基本動作は問題なくこなせるようになりました。
20~30分ほど研修を受けたら、すぐに本番デビューです。統括の指示のもと、一般のお客さんのいる空間へ“飛び”ます。
私が入ったバーチャル空間ではすでに数人のゲストが渋谷の街を楽しんでいました。バーチャル空間では、チャット、音声会話、エモーション、アバターの動きでコミュニケーションをとることになりますが、いきなりズケズケと話しかけると相手が引いてしまうのはバーチャル空間もリアルも同じ。
まずはエモーションで合図を送り、相手が答えてくれたら、ジャンプや手を振るなどの動きを加え、それに応じてくれたら、チャットや音声会話という、バーチャル空間ならではのコミュニケーションのステップがあります。
慣れてくると、動きに悩んでいそうなユーザーに対して基本的な操作方法を紹介したり、バーチャル渋谷に隠されたバンクシーの絵について教えてあげたり…。それにしても、予想より多くの人がこちらからのアクションに、エモーションや動作などで応答してくれたのには驚きました。
調子に乗ってアーティストのライブ中に「楽しんでますか~」と周囲の人に声をかけたところ、複数のユーザーから音声やチャット、エモーションでの応答があり、嬉しくなってしまいます。
今回の仕事の目的のひとつである、ユーザーの写真撮影はなかなか大変でした。イベント開催から数日経過しており、すでに写真を撮影してしまったユーザーも多いし(写真撮影は1回のみ)、コミュニケーションはとれても写真撮影は断られたり。
最終的には、同じ空間にいた先輩スタッフが、写真撮影を希望されているユーザーさんを見つけ呼んでくれたので、無事写真を撮影することができました。
常連ゲストから難しい質問をされ答えに窮したので、スタッフのグループ通話で質問をしたところ、同じ空間にいた先輩スタッフが駆けつけ対応してくれました。バーチャル空間で働くというと各々が自分の仕事をこなすといった、なんとなく無機質なイメージがありましたが、リアルでのイベントバイトと同じく、先輩が後輩を助けてくれる優しく温かな世界でした。
また世界中どこからでもアクセスできるので、ユーザーの国籍もさまざま。英語圏のユーザーの対応には英語ができるスタッフが派遣されており、今後イベントの規模が広がるにつれ、語学能力もスタッフとしての強みになるなと思いました。
契約時間が終了すると、チャットツールで先ほどのスタッフ空間に飛ぶよう指示されます。いったんそこに集まり、日報の記入方法や撮影した写真の保存方法などを教えてもらい解散です。
バーチャル空間なので、よく考えてみたら集合する必要はないのですが、顔を合わせる(?)と気分的にひと区切りつくから不思議です。
チャットツールのメモにその日あった出来事を書いて、撮影した写真をサーバにアップしてお仕事終了です。
今回、バーチャル空間での仕事を体験してみて、反省点および今後の改善事項をまとめました。
仕事中は、チャットツールを通じて仕事の指示を受けます。なのでアバターを操作するためのデバイスと、チャットツール用のデバイスの2台が必須です。
今回、うっかりイヤホンなしで臨んでしまいました。音声チャット機能を使う場合、声が反響し相手が非常に聞きづらくなるので、イヤホン・ヘッドホンは必ず装着しましょう。
バーチャル空間で快適に動くには、それなりの通信環境が求められます。データ通信だと容量制限にひっかかることも。Wi-Fi環境下でも速度が安定していることが大切です。どこでも働けるのがアバターワークのメリットですが、フリーWi-Fiなど速度が安定しない場所では難しいかもしれません。
バーチャル空間でのお仕事はデバイスが命。くれぐれも充電は万全に。途中でバッテリーが切れてしまったという事態は避けたいところです。
慣れないうちは、ついつい瞬きも忘れバーチャル空間に集中してしまいます。ある瞬間に、眼精疲労や、肩、首筋の凝りによるものか、一瞬目の前が真っ暗になるようなめまいに見舞われました。バーチャル空間で酔ったような状態とでも言いましょうか。これはスタッフ初日にありがちなことのようですが、ときどき画面から目を離し、肩や首を回してコリをほぐしましょう。アバターの操作はスマートフォンではなく、画面の大きなタブレットやパソコンの方がいいかもしれません。
ほかにも経験を積むたびにさまざまな注意事項がでてくるとは思いますが、上記が初日を終えた私からのアドバイス。
アバターワークに挑戦する方は参考にしていただけると幸いです。